日本の風力発電が育たない理由を考える 作成2006/2/3
世界は、未曾有の風力ブーム。ドイツ・スペイン等の欧州、アメリカ、中国、インド。世界が風力発電に向かっています。
しかし、日本の風力発電だけは今、行き詰っている。そんな気がします。
それはなぜか、考えてみました。
電力会社に「ボランティア」をやらせている事ではないでしょうか。
電力会社の人と話す機会があったが、決まり上、風力発電は受け入れているが、どことなく、嫌々やっているという雰囲気が伝わってくる。自治体等への対応、地球温暖化のポーズとして、引き受けているという感じではないでしょうか。小規模風力発電(自治体などのケースが多い)の優遇買取制度など、まさにボランティア的要素があるのではないでしょうか。
やはり、風力発電の負担をかなり電力会社がボランティアとして受けている。これが大きなひずみになっているような気がします。

日本の風力発電を推進するには、かつての原子力政策のような強力な国の支援と、そして電力会社にとっても、風力発電は「儲かる」ものだというシステムの構築が必要ではないだろうか。

風力発電の初期の頃は、小さな風車で地元と共生し、電力会社とも仲良くやっていたと思います。共通の理念のようなものも存在していたかもしれません。(実際にその頃、風力発電ビジネスを始めた会社の人と話していると、そんな感じだったようです。)ところが突然、風力発電がブームになった頃、商社・不動産などの大資本、地域共生を感じさせない事業者などが、参入し、その友好的な関係を壊してしまったような気がする。
私はそう、感じました。『電力会社は国の方針などもあり文句は言えない、買い取り価格は高い。(当時は本当に高かった。11円台じゃなかったかな。補助金も豊富でしたし、儲かったと思います、計算上は・・・)電力会社から利益をがっぽりむしりとってやろう・・・』
その結果なのか、風力発電は、一気に普及しました。しかし、その急速な普及が風力発電の命取りになってしまったのかも知れないです。

今、半数以上の電力会社が風力発電の買取を停止しています。しかも、そこはどこも非常に風況がいい。今後、再開の希望はありますが、蓄電池併設であったり、夜間などに停止を要求される解列方式の風力発電を行う必要があります。(コストがアップします)
蓄電池併設は、まだ新しい風力発電の可能性は見出せますが、解列方式というのは、せっかく発電できる状態の風力発電を停止させるというもの。これでは、何をやってるんだかわかりませんし、風力発電事業者、電力会社共にアンハッピーなものでは無いでしょうか。

一方、更に運の悪いことに、同じ頃、電力の自由化が、日本でも始まった。それは、電力価格
をいかに安くするかの勝負です。多くの新規電力事業会社(PPS事業者)が参入した。予想以上にたくさんのPPS事業者が参入した。(私のHPでまとめるつもりだったのだが、多すぎて作る暇が無いです)
これを契機に電力料金は一気に下がる。(特に割高だった=電力会社の収益源でもあった、業務用電力が大幅に下がりました。)

この自由化により、電力会社には、風力発電を買い取る余裕が無くなってしまったのだと思います。PPS事業者の電源は安い。それは、大半が化石燃料を使用するからとも言える。石炭、
石油、天然ガス。コストが高く、変動が激しい風力発電はもちろん無い。(※最近、PPSのエネットが風力発電の電気を加えました。ただ全体に占める割合はまだごく僅かです)

今、自分が電力会社の立場だったらどうか、株主に対する責任を考えた場合、どうか。
おそらく風力発電は受け入れないだろう。そんなことをしていたら、PPS事業者に負けてしまう。利益を出すのが株主に対する責任であれば、利益が見込めない風力発電は採用できないと思う

今、必要なのは電力会社も儲かるシステムを風力発電で作る事だと思う。
例えば、今まで電力会社の電気代は発電・送電にかかったコストに電力料金に反映する
価格だった。しかし、今は競争原則が入ったため、それはできなくなったと思う。
そんな中、風力発電のコストも電気代に確実にオンできるシステム。風力発電による変動・周波数調整、送電線の増強のコストも電力代にオンできるようにする
そして、よりたくさんの風力発電を設置すれば電力会社も、よりいっそう儲かる。そういう
システムが必要では無いかと思います。(インセンティブシステム)

例えば、一般家庭の電力料金をkWh当たり、風力発電の為に法律等でkWh当たり1円上乗せしたと仮定します。
概算で、家庭用電力の消費量は、従量電灯と仮定して、約1931億万kWhです。
ですので、この1円のコスト負担で、1931億円の増収。2000kWの風車が4億円としますと483基。つまり毎年97万kWずつ風力発電を建てる事ができます。
この数値は、日本の2004年度末までに設置された全ての風力発電の出力(92.7万kW)を
上回ります。

一般家庭の電力消費量は、約4500kWh(出典:省エネセンター)ですので、負担金額は
1世帯当たり年間4500円。この費用を負担するか、否か。
国民的合意が必要だと思います。もちろん、収入に応じた減免措置等は必要かもしれません。
ただ、なんとなく、今議論が進んでいる環境税より、いいんじゃないかと思います。(環境税は使い道がはっきりしていないですし)

一方、工場・事務所・商店など全ての電力需要家が1円負担したとします。
すると電力量は約9355億kWh。金額にして、9355億円。これですと、2339基。
毎年468万kWが増える計算になります。数年間で、世界一の風力発電国家になりますよ。
さすがにここまで来ると、かなり無理もありますが(笑)
でも、やろうと思えば、できますよ。きっと
<参考>2004年世界の風力発電設備容量 約4700万kW
     2004年ドイツの風力発電設備容量 約1700万kW(世界一)
     2020年中国の風力発電目標量 4000万kW


風力発電は負担増という印象は否めませんが、次のことも考えてください。石油で発電すれば
その利益の大半は海外(アラブ諸国等)に流出して帰ってきません。石炭・天然ガスも同様です。行き先が、オーストラリアやインドネシア、ロシアなどに変わるだけです。これも帰ってきません。原子力、これもウランが輸入品という事を考えれば同様でしょう。
しかし、風力発電(を含む再生可能エネルギー)は違います。ここだけははっきり言えます。
風力発電の原料は国産の資源です。しかもタダ。風力発電にかかった発電コストも、国内に還流されます。海外にお金が流出することはありません
そして、そのお金が地域・地元に還元できれば、誰もがハッピーなのではないでしょうか。

また、日本は京都議定書に批准し、CO2の排出削減義務(2008年に1990年対比6%の削減)を負うことになりました。
場合によっては、CO2排出権を、他の国から買わなくてはなりません。(というか、確実に買うことになる雲行きです)。もし政府が排出権を買うことになる、これはすなわち税金となります。削減に必要な量は諸説ありますが、ある文献に拠ると1.3億トンと言われています。CO2の相場は仮に1トン当たり1000円としますと、約1300億円の税金を使って、他所の国の排出権と言う(場合によってはホットエアと呼ばれる全く実態の無い)ものを買わなくてはいけません。
ちなみにEUで始まったCO2排出権取引市場では、既にCO2の価格は3000円を超えて、高騰しています。
もしかしたら、もっと高い価格で買わなければいけないかもしれません。
ホットエア・・・京都議定書の対象期間である1990年以降、運悪く(良く)大不況等で、意図せずに CO2が下がった結果、一切のCO2削減努力も無く、権利となった排出権(と解釈しています)
しかし、考えてみれば、これほど無駄な出費はないのではないかと思います。
石油にしても、石炭にしても、形があり対価を払います。まあ、納得はできます。しかし、CO2排出権。これは紙切れ1枚だけかも知れません。発展途上国と協力して削減するCDMという事業でのCO2排出権獲得。これはまだいいと思うんですが、ホットエアだけは、勘弁して欲しい。本当にもったいない。

風力発電はいろいろ問題があります。しかし、今後の日本のこと、そして世界の地球環境のことを考えれば、できれば積極的に推進していきたいエネルギーだと私は思います。導入して、きっと後で大問題になるとか後悔する・・・ということはあまり無いと思いますよ。
「風は誰にも請求書は送らない」
(フランツアルツさんの言葉をいじってみました)
思いつくままに書いてみました。読みにくい点等多々あると思いますがご容赦ください。

みなさんは、どう感じますでしょうか。